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刑罰について



犯罪に対する刑罰についての論議となると、最近では「死刑の是非」と言うのが多いと思うわけです。
確かに、それは、刑罰についての最も集約された部分なのでしょう。

でも、実は死刑を肯定するか否定するかよりも、刑罰を、社会機構の中で、どのような機能として捉えるのかが問題なのではないかと思うわけです。


主に「犯罪抑止力」としての機能と、「犯罪者の更生」という二つの機能が考えられるわけですけれど、二つの機能のどちらに重点を置くかで、かなり話が変わってくるわけなので、そこのところがポイントになると思うわけです。


ただし、そこで「人間が人間の命を奪ってはいけない」というような、人道的な見地からの意見や、「仇討」的な復讐と言う考えは、刑罰という話とは意味合いが違う話になってしまうので、それを持ち出してしまうと、そこから先には進めなくなってしまうと思うわけです。
まぁ、要するに、それを言ってしまうと「法的な意味での刑罰」の話ではなくなってしまうということですね。

そこで、刑罰を、その機能に限定して考えた場合、先述の「犯罪抑止力」と、「犯罪者の更生」という二つの機能が主なものかと思うわけです。

現在、最も中心的な考え方は、「犯罪者の更生」なのだと思うわけですけれど、それは、あくまで犯罪が起きてからの事後処理的な側面があるわけで、ある意味では、それが達成されたとしても、もはや犯罪は起きてしまっているわけで、それは、既に「十分に不幸な出来事」であるわけです。

この、犯罪という「誰にとっても不幸な出来事」を前提にしてしまっているところが(加害者も十分すぎるくらいに不幸だと思います)、この考え方の重大な欠陥であることは、犯罪が増加し悪質化する傾向にある現代社会では、もはや、議論の余地もないことのように思われるわけですけれど、社会が、人道主義や人権擁護と言った「美辞麗句」を捨てられないために、これを引きずってしまっているように思われるわけなのです。

そして、このことは、先に述べた機能に限定するという法則からも外れてしまうわけで、結果的には、前述の『人間が人間の命を奪ってはいけない』や、その裏返しの意味での「復讐」というのとかわらないことに成ってしまうわけで、「刑罰の機能」の話から逸れてしまっているわけなのです。


やはり、犯罪は未然に防がれるべきであって、それでこそ、機能として有効であるともいえるわけですから、「犯罪抑止力としての機能」を強化すべきであろうかと思うわけです。
と言うよりは、ほかのすべてのことを切り捨ててでも、そこを達成しなければ、現在の犯罪の進行は止めることが不可能なのではないのでしょうか?


例えばの話、もし仮に、犯罪が多発している中で、犯罪者を100%更生させることができる「パーフェクトな犯罪者更生プログラム」が、システムとして確立されたとしても、次から次へと犯罪が発生ていくのではあまり意味がないでしょう。

ですから、冒頭の話に戻せば、「死刑の是非」ではなくて、「刑罰の有効性」を議論すべき時なのではないのかなと。

実際、死刑を自ら望む犯罪者もいるわけで、その犯罪者達にとっては死刑は必ずしも極刑ではないのでしょうから、それを、学者などの現状の犯罪からあまりにもかけ離れたところに立っている人たちが、あくまで「死刑=極刑」という前提でもって、その「是非」を議論してもあまり意味がないわけです。

犯罪者の望みをかなえていることになっているのであれば、それは刑罰ですらないわけで、それを肯定しても否定しても、その議論の意味自体が、極めて希薄であるとしか言いようがないわけなのです。

そこで、犯罪を抑止するという機能を強化するためには、どのような刑罰、または、その他の手段が有効なのかと言う議論がなされるべきなのであって、そうした機能の有効性が発揮されて、犯罪が減っていくことこそが、本当の意味で「人道的なこと」なのではないのかなと。

さらに言えば、これは、犯罪被害者にとっても、犯罪加害者にとっても「人道的なこと」と、つまり「一石二鳥」とは言えないでしょうか?


ここで最も有効な抑止力になるのはどんなものなのかとなれば、それは、かなりの難問だと思いますけれど、少なくとも、犯罪が多様化しているのに対して、刑罰(法)の側は、昔ながらの「死刑」を極刑とする「懲役刑」や「禁固刑」、「罰金刑」という判で押したようなものしかないわけですし、それらの刑罰の重さも、この程度の犯罪を犯したものには、この程度の刑罰と言うような判例主義を取っている関係で、犯罪者側からすれば想定内の刑罰しか与えられないわけですから、犯罪常習者や、社会的逸脱者からすれば、「チョロイモン」で、もはや、彼らに法に対する畏怖の念はないでしょう。

つまり、刑罰が「犯罪抑止力」として機能していないケースが増えてきているということですね。

だから、これからの刑罰には、『犯罪を侵すと、予測できないような、とんでもない刑罰が下されるかもしれない』というような「意外性」や、個々の犯罪者が『これだけは絶対に嫌だ』と思うような「個別性」が必要になってくるのではないのでしょうか?

言ってみればそれは、「天罰覿面(てんばつてきめん)」を再現するということなのかなと。
『天網恢恢疎にして漏らさず』と言ってもいいでしょう。


もちろん、人が人に「天罰」を下すことには十分問題があるわけですが、それを言い出すと、また、人道論に戻ってしまうので、機能としての有効性に絞った話をしなければならないということでしょう。

要するに、『人が人に「天罰」を下すということ』と、『現状の犯罪が生み出している悲惨さ』のどちらを取るか?と言う二者択一を迫られているわけですよね。

でも、よくよく考えれば、それは、元に戻って「人間が人間の命を奪ってはいけない」と同じ話になってしまっているわけですし、結局、現状の刑罰でも、人は人に対して「天罰」を加えているのは同じことなわけですから、あまり、そこに固執しない方がいいような気がします。

実際、かなりの悪人であっても、また社会的逸脱者であっても、恐れていることはあるでしょうし、「絶対にされたくない嫌なこと」と言うのもきっとあるでしょう。

『犯罪を侵せば、もしかしたらそういう刑罰が下されるかもしれない』と考えれば思いとどまることもあるでしょう。


過去には死刑を頂点とした刑罰が、ほとんどの人間にとって、十分に「嫌なこと」であり、「恐れていること」でもあったわけですが、それが成り立たなくなってきているわけです。


今後、刑罰に、予測不能であるという「意外性」と、個々にとっての刑の重さである「個別性」を取り入れていくことは、法に対する畏怖を再生して、犯罪を抑止する一つの道であると思いますが、いずれにしても、現状の犯罪と、その被害者、加害者の惨憺たる状況を横目に、それとは無縁の人道論を云々するというのは、まったくの非人道的行為になってしまっているのかなと。


そんな風に思っております。



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85:
※84
MKさん、コメントありがとうございます。
初めから、「死刑の是非」となってしまうと話が、手の届かないところに行ってしまうと思うんですよね。
刑罰の「意味」を考え直さないと、犯罪は減らないと思うんですよね。
それに、もし仮に犯罪を減らすことなど所詮できないのだとしても、多くの人が納得できる形と言うのはあると思うわけですね。
今の議論は、刑罰を与える立場にある人たちの自己満足に見えますね。


84:
>「死刑の有効性」を議論すべき時
そうですよね。死刑の是非が、むしろ否定的な方向へと議論されてるばかりですよね。
仮に死刑がなんの有効性もなければやめればいいのですが、その有効性についての議論が欠けていますよね。
これまでの死刑論議には死刑廃止すべしと言う前提があるのでそれは議論ではなくむしろ世論に賛同を求めるお話なんですね。
私は死刑にはやはり異常遺伝子の排除という側面があると思っています。それは社会秩序を維持するために時として必要だと思っています。判断は容易ではありませんが、死刑が不可避のケースはあると思っています。

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プロフィール

ふたつ

Author:ふたつ
※トップ画面とプロフィール画像の絵は習作として描いた絵です。

ご訪問いただき、ありがとうございます。

自分自身の制作に対する姿勢を示した「宣言文」をブログの形で発表するのは、筋が違うのかとも思いますが、このような形しか思い当りませんでした。
ご容赦ください。
興味のない方にはたぶん面白くないでしょう。

ただ、私はここに書いたことがこれから確実に起きることだと思っています。
と言うよりも、すでに起きていることだと思っています。
「天才の時代」は、もう終わらせなければいけないと思うのです。
「天才」なんてもう何処にも居ないのだと思うのです。
「天才」は、もう誰にとっても必要ないモノに成っているんじゃないでしょうか?。
「普通の人」が、もっともっと芸術に関われるようになったら、
少しいいんじゃないかと思います。

いえ、芸術に限った話でもないのです。
全てのことが、今よりもっと「普通」でいいんじゃないでしょうか?
「個性とは実は最も普通なことなのではないのか?」
私はそんな風に思うのです。

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1960年の生まれです。
横浜在住です。
過去に何一つ実績と言えるものはありません。
30歳に成った頃、絵を描き始めました。
その後、細々と美術に関わる仕事をしていましたが、自己作品の制作にはあまり積極的とは言えませんでした。
2013年のはじめ頃から、自己作品に対する欲求が生まれ、現在は妻の収入に頼って、ようやく制作に漕ぎ着けております。

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読みづらいところもあるかとは思いますが、読んでみて下さい。


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