「お金」と「芸術」の共通点
「芸術」と言うと、「お金」とは正反対のところにあるものという捉え方をされていますけれど、この二つには、共通点があると思うわけです。
それは、両方とも賞味期限がないことなのです。
食べ物ではないので、賞味期限と言うのはおかしいんですが、要するに、無期限の価値を持っている(与えられている)ということですね。
お金(通貨)というのは、それを発行している国が崩壊すれば価値がなくなるし、「芸術作品」も、その作者の名声が没落すれば、その価値も下がってしまうわけですから、必ずしも無期限とも言えないわけなんですが、少なくとも食べ物のように、一定の期間を過ぎると必ず価値がなくなるということは無いわけです。
でも、ただ単に、食べ物と言うのは、最も顕著な例で、だから賞味期限と言う言葉を使ったわけですけれど、ほとんどのものは、製造されてから一定の期間が過ぎると価値が落ちていくという宿命があるわけです。
ましてや、一度人手に渡ったものは、いわゆる「ユーズド品」になってガクンと価値が落ちてしまうわけですよね。
ところが、「芸術」・「お金」両方とも、どんなに人から人に渡って行こうが、いくら使用されようが価値が変わることがないわけです。
よほどの技法的な欠陥があって、「絵」が剥落したりでもしない限り、例えば、年代相応に劣化して修復されたとしても価値が変わったりしないと思うわけです。
そして、このことによって「芸術」が投資の対象になったりするのだと思うわけなのです。
本当は、この両者にも期限があれば、いいのではないのかなと思います。
ただ、それをどんなふうにやればいいのかは、今のところわからないというのが残念ではあります。
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