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「動く層」



油絵具の特徴は、なんといっても、絵具を重ねていったときに出て来る複雑な色合いだと思っているわけです。


それで、その過程で、いろいろな「色の効果」が現れて来る瞬間が、タマラナク好きなので、油絵具から離れられないと言うわけです。

そんな中で、絵具を溶く油(画用液)に工夫をしたり、絵具を乗せる厚みを変えたりと言う工程が、発生してくるわけですね。


そういう工程のことを細かく言うのは、無意識でやっていることも多いので、とても無理なんですが、そんな中で、最近、意識してやっているのが「動く層」を作ることです。

これは、今までも無意識には使っていたように思いますが、今年に入ってからは、意識的に使うことが多くなりました。


私の場合、色を重ねる回数が多いので(バカバカしいくらいに)、最後までの工程を最初から計画通りに進めるというのはとても無理だと思って諦めています。


本当は、ある程度計画どうりに描き進めていきたいという気持ちもあるんですが、2~3色ほど先の色までは決めている場合が多いですが、その先となると、その時現れてきた色に合わせていかないと決められませんし、一つの絵の中で何度か、大きく方向を変えることも多いので、全く計画通りなんて有り得ないわけですね。

そんな中で、「動く層」を作ることだけはある程度、「計画的」・「意図的」にやることがあります。


その「動く層」と私が呼んでいるのは、ある程度、色が重ねられて来て、納得できるような色が出てきた画面の上に、粘りのある画用液を上塗りして、乾かないうちに、ほとんどなにも混ぜない(先に塗った画用液よりも、さらに粘度の高い状態の)絵具を乗せて、さらに、その上から、また画用液を上掛けするというやり方で、粘りのある画用液でサンドイッチ状に挟まれた濃い絵具の層が筆の動きに合わせて動くようにするというものです。

「揺らぐ」と言ったほうがいいのかも知れません。

画用液には、スタンド・オイルを多めに混ぜています。
色を混ぜる場合もありますし、色を混ぜない時もあります。
スタンド・オイルの割合によって「層の動き方」が違ってきます。

それから、真ん中に挟んだ絵具の「ネリ」の固さでも動き方が違いますし、最初に塗る画用液と最後に塗る画用液の粘り気の差でも動き方が違ってきます。

最後の工程では、最初だけ画用液を含ませて、その後はほとんど何もつけない筆で層を動かす場合もあります。


暗い画面の上で、この描き方をすると、時として水墨画のような濃淡のある画面が出来て来ることがあります。

ただ、いまのところこれを完全にはコントロールできていませんからうまくいかない時もあります。
上手くいかなかったときは、せっかく作った画面がほとんど台無しになってしまいますから、あまり要領のいいやり方とは言えないかも知れませんね。


それから、ベネチア・テレピンを使おうとしたことがありましたが、粘りが強すぎて、適度な粘り気にするのがムズカシイのでやめました。

また、ボイルド・ポピー・オイルを使ったときは粘り気が弱くてうまくいきませんでした。
それに、乾きが遅くて困ったので、これもやめてしまいました。

おそらく、ボイルド・リンシードならばスタンド・オイルと同じように使えるんじゃないかと思います。
(今度やってみるつもりですが、まだ試してはいません)

 ※追記:「ボイルド・リンシード」を使ってみたところ、「スタンド・オイル」のよ
  うにはいきませんでした。
  やはり、粘度が足りない感じですね。
  普通のリンシードオイルとそれほど違わないのかも知れません。
  でも、粘り具合を調整できるという利点はあるような気がしています。
 
この「動く層」の効果と言うのは、要するに「ブレた写真」のような感じですね。


シャッター・スピードを調節して”ブレ”させたり、ただ単に、失敗して「手ブレ」を起こしたりして、”ブレ”た写真がオモシロイということはよくあると思いますけど、そういうのと同じような効果だと思います。
(私は写真を撮らないのでよくわかりませんけど)


たぶん、「具象画」でも使えると思います。
(「一か八か」の一発勝負に成りますけどね)


真ん中の層に挟む絵具は、白を中心に混色した絵具が最も効果的です。

他の色でも「動く層」を作ることは出来るんですけど、普通にぼかしたのと区別がつきにくい感じになる場合が多いです。
特に暗めの画面上で透明度の高い絵具を使うと、ほとんど効果が無く成ってしまうかもしれません。
(それはそれで、微妙な面白さが出るかもしれませんけど)

白の中では、シルバー・ホワイトが粘り具合が丁度よい感じでやり易いです。
(メーカーによってだいぶ差がありますけどね)


それから、絵具の「ネリ」が柔らかい時には、体質顔料を混ぜるとある程度カバーできますが、滑らかになるまで練らないとうまくいきません。

また、紙に絵具の油分を吸わせるというやり方がありますけど、絵具の固さの調節がむずかしくなるので、私は、この手法には使っていません。

どちらかと言うと、もともと「ネリ」の固いメーカーの絵具を使うのがいいと思います。


あと、しばらくしてから絵具がダレて来ることがあるので、出来れば水平にして1日~3日ぐらいは置いたほうがいいです。


この技法は、工夫次第で、もっといろんな効果が得られるんじゃないかと思っていますから、これからも試していこうと思っています。

と言っても、あんまりやりすぎるのもどうかと思うので、その辺は、そこそこに、とも思います。


それでも、こういった抽象画を描くことから出てきた技法というのも、もう少しくらいは、技法として確立されて行ってもいいんじゃないかとも思います。


こういう技法っていうのは、一つのものがあって、さらに、その上に積み重ねられていくものだと思いますから、下敷きになるようなものがあってもいいんじゃないかと思ったりもしますね。


まぁ、私みたいな者が言っても始まりませんけどね。

とりあえず、そんな風に思っています。




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プロフィール

ふたつ

Author:ふたつ
※トップ画面とプロフィール画像の絵は習作として描いた絵です。

ご訪問いただき、ありがとうございます。

自分自身の制作に対する姿勢を示した「宣言文」をブログの形で発表するのは、筋が違うのかとも思いますが、このような形しか思い当りませんでした。
ご容赦ください。
興味のない方にはたぶん面白くないでしょう。

ただ、私はここに書いたことがこれから確実に起きることだと思っています。
と言うよりも、すでに起きていることだと思っています。
「天才の時代」は、もう終わらせなければいけないと思うのです。
「天才」なんてもう何処にも居ないのだと思うのです。
「天才」は、もう誰にとっても必要ないモノに成っているんじゃないでしょうか?。
「普通の人」が、もっともっと芸術に関われるようになったら、
少しいいんじゃないかと思います。

いえ、芸術に限った話でもないのです。
全てのことが、今よりもっと「普通」でいいんじゃないでしょうか?
「個性とは実は最も普通なことなのではないのか?」
私はそんな風に思うのです。

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1960年の生まれです。
横浜在住です。
過去に何一つ実績と言えるものはありません。
30歳に成った頃、絵を描き始めました。
その後、細々と美術に関わる仕事をしていましたが、自己作品の制作にはあまり積極的とは言えませんでした。
2013年のはじめ頃から、自己作品に対する欲求が生まれ、現在は妻の収入に頼って、ようやく制作に漕ぎ着けております。

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読みづらいところもあるかとは思いますが、読んでみて下さい。


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